地上26階「アーバンネット札幌リンクタワー／ハイアットセントリック札幌」の建設状況！施工不良により15階まで組んだ鉄骨を解体したビル（2025.6.20） : 超高層マンション・超高層ビル

　札幌で建設中の複合施設「アーバンネット札幌リンクタワー」(地上26階、高さ110.9m)です。2025年6月20日に撮影しました。低層部に店舗、中層部にオフィス、高層部にホテル「ハイアットセントリック札幌」が入る複合施設になります。同ビルは施工不良発覚により15階まで組まれていた鉄骨を解体してやり直した経緯があり、当初予定より28ヶ月ほど工期が伸びています。この記事では同ビルの概要や建設状況、地図等を載せています。

外観パース[出典：公式HP]

　「アーバンネット札幌リンクタワー」は北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）の南側にあった北海道放送(HBC)本社跡地の再開発で、規模は地上26階、塔屋1階、地下2階、高さ約110.9m、敷地面積4,606.21㎡、建築面積3,701.35㎡、延床面積6万902.12㎡、建築主はNTT都市開発、設計者は久米設計、施工者は大成建設で2026年6月末の竣工予定です。

建設工事停止中の2023年2月5日撮影

　同ビルは15階まで鉄骨が組まれたところで、建築主であるNTT都市開発からの指摘により施工不良が発覚しています。詳細な調査を実施したところ、鉄骨の柱や梁が70か所で平均4mm、最大で21mmずれていたほか、コンクリートの床など245か所で、平均で厚さ6mm、最大で14mm薄かったことが判明しており、施工不良の原因は大成建設の品質管理担当者が鉄骨精度計測値について一部実測値と異なる数値を虚偽報告していたためで、契約に基づいた品質及び建築関連法規を満たさない見込みとなったため、地上部の全てと地下部の是正対象部分が撤去され再構築されました。これにより28ヵ月ほど工期が延伸しています。

建物構成[出典：NTT都市開発]

　同ビルは北棟と南棟に分かれており、北棟のフロア構成は地下1階～2階が広場・店舗、3階～16階がオフィス(基準階面積500坪超)、17階～26階がホテル「ハイアットセントリック札幌」になります。南棟は地下1階～1階が商業施設、2～7階がインキュベーションオフィスになります。

　「ハイアットセントリック札幌」は1階の一部と17階～26階(全216室)に位置しており、ホテルロビーは高さ70m地点の17階に配置され、北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）や北海道大学植物園などを望むことができます。「ハイアットセントリック」には「街の中心に位置し、行動と情報の拠点になる」という意味が込められており、同ホテルも札幌の中心エリアに位置しています。開業予定は2026年です。

配置図[出典：公式HP]

　敷地はT字型となっており、北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）側となる北側に高層棟が配置され、南側の細い敷地部分に低層棟が配置されます。

外観パース[出典：公式HP]

　北棟低層部の完成予想図です。1～2階には約1,300㎡の屋内外広場やアトリウム空間が整備されます。

アトリウム空間[出典：NTT都市開発]

　アトリウム空間は2層吹き抜けで北棟の北西角に配置されます。

南棟外観[出典：NTT都市開発]

　南棟の完成予想図です。北棟とは地下1階と地上2階で接続します。

基準階平面図[出典：公式HP]

　北棟4～10階の平面図です。北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）がある北側がメインとなるオフィスフロアで、天井高2,800mm、ワンフロア約1,675.03㎡（約506坪）規模となります。

位置図[出典：公式HP]

　建設地は北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）の南側で地下鉄「大通」駅から徒歩6分、JR「札幌駅」から徒歩10分の場所に位置しており、地下通路によって両駅に接続します。

　その地下通路のルートは、南棟の地下1階で「北一条地下駐車場公共地下歩道」に直結し、その地下歩道から札幌都心を南北に縦断する地下歩道空間「チ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間)」に接続します。これによりJR「札幌」駅や地下鉄「大通」駅、「さっぽろ」駅などにも繋がります。

　2025年6月20日に撮影した「アーバンネット札幌リンクタワー」(地上26階、高さ110.9m)です。手前が7階建ての南棟で、背後が26階建ての北棟です。手前の道路の地下に「北一条地下駐車場公共地下歩道」があり、そこからJR「札幌」駅や地下鉄「大通」駅まで繋がっています。

　南西側から撮影。北棟の南側の大部分はエレベーターやトイレなどが配置されるため窓はほとんどありません。ただ、一部はコア内貸室となっています。

　近くから見上げて撮影。1、2階のまだ窓がない部分にアトリウムが配置されます。

　北西側から撮影。セットバックしているフロア下の、外壁の形状が変わっているところが「ハイアットセントリック札幌」になります。

　北東側から撮影。この右側（北側）に北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）があります。

　同じ日に「JRタワー」の展望室から撮影。写真右側のタワークレーン2基見えているのが「アーバンネット札幌リンクタワー」です。また、右端に見切れているのが北海道庁旧本庁舎（赤れんが庁舎）で、5年かけて大規模改修工事を行っていましたが7月25日から再開館します。

　「アーバンネット札幌リンクタワー」にズームです。背後は藻岩山です。

　また、左奥で建設中のタワーマンションは先週のブログに載せた「シティタワー札幌すすきの」(地上28階、最高高さ101.97m)です。

　さらにズームです。ちょうど「ハイアットセントリック札幌」の17階ロビーから見えています。

　場所は変わって「さっぽとテレビ塔」から撮影した大通公園です。右側のタワークレーンが2基見えているのが「アーバンネット札幌リンクタワー」です。

　少しズームです。右下のビルは「札幌市役所」です。

　さらにズームです。

　札幌市役所の屋上にある展望回廊（4月下旬から10月末の平日のみ開放）から撮影。

　ズームすると「さっぽとテレビ塔」から見たときとほとんど変わりません。

　建築計画のお知らせです。以前撮ったものなので数値は古いです。

■物件概要■
名称：アーバンネット札幌リンクタワー
ホテル名：ハイアットセントリック札幌
計画名：(仮称)札幌北1西5計画
所在地：北海道札幌市中央区北1条西５丁目1番4（地番）
交通：地下鉄「大通」駅徒歩6分
　　　JR「札幌」駅徒歩10分
用途：事務所、ホテル(17～26階)、店舗、駐車場(機械式立体駐車場136台)
総客室数：216室
階数：地上26階、塔屋1階、地下2階
高さ：約110.9m
構造：鉄骨造/鉄骨鉄筋コンクリート、制震構造
敷地面積：4,606.21㎡
建築面積：3,701.35㎡
延床面積：60,902.12㎡
建築主：NTT都市開発
設計者：久米設計
施工者：大成建設
工期：2021年10月着工～2026年6月末頃竣工予定

▼公式HP：アーバンネット札幌リンクタワー
https://www.nttud.co.jp/sapporo_project/

▼NTT都市開発（ニュースリリース）
2024年12月12日：（仮称）札幌北 1 西５計画物件名称を「アーバンネット札幌リンクタワー」に決定札幌市で 3 件目となる「ゼロカーボン推進ビル」認定を取得
2023年3月16日：「（仮称）札幌北１西５計画」の竣工時期延期について
2022年6月28日：札幌にハイアットが初進出
ホテル名称は「ハイアットセントリック札幌」に決定、2024年春開業
2021年11月12日：（仮称）札幌北１西５（旧北海道放送本社跡地）計画における新築工事着工について

▼大成建設（IR）
2023年4月17日：「施工中工事の是正工事実施に伴う損失計上」及び「業績予想の修正」について
2023年3月16日：施工中工事における鉄骨建方等の精度不良について
2023年3月16日：取締役及び執行役員の辞任に関するお知らせ